ある日、いつものように車に乗ろうとしたら、エンジンがかからない。「セルは回るのに、うんともすんとも言わない」…そんな経験はありませんか?

その原因のひとつに「プラグかぶり」という現象があります。
名前を聞いても「プラグって何?」「かぶるってどういうこと?」と思う方も多いはず。

この記事では、車のことがよくわからない方でも安心して読めるように、プラグかぶりの意味や対処法をわかりやすく説明していきます。

プラグとは、エンジンの中で火をつける“ライターの火花”のような部品です。車のエンジンは、ガソリンに火をつけて動いています。その火をつける役割をしているのが「スパークプラグ」と呼ばれる部品です。

簡単に言うと、

  • ガソリン:燃えるもの
  • プラグ:それに火をつける役目

この火がちゃんとつかないと、エンジンは動きません。


「プラグかぶり」は、プラグがガソリンで濡れてしまって、火がつかなくなった状態のことです。

たとえば、濡れたマッチを使おうとしても火がつきませんよね。それと同じで、プラグがガソリンでべちゃっと濡れてしまうと、火花が飛ばなくなり、エンジンがかからなくなるのです。


主な原因は次のようなものです。

● エンジンを何度もかけようとした

車がなかなかかからないとき、何度もセルを回す(キーをひねる)と、ガソリンだけがどんどん入ってしまい、プラグが濡れてしまうことがあります。

● アクセルを強く踏んだ

エンジンが冷えているときにアクセルを踏みすぎると、ガソリンが出すぎてしまうことがあります。

● 長く乗っていなかった

何日も車を動かしていないと、エンジンが冷え切っていてかかりにくくなり、プラグかぶりを起こしやすくなります。

● 寒い日にエンジンをかけてすぐ切った

気温の低い日などは、エンジンがかかりやすいよう濃い燃料がエンジン内に噴射されます。噴射された直後にエンジンを切ると、濃い燃料でプラグが湿ってしまいプラグかぶりを起こしてしまいます。


「プラグかぶり」が起きると、次のようなことが起こります。

  • セルは回るけどエンジンがかからない
  • いつもよりエンジン音がボソボソしている
  • 車の後ろ(マフラー)からガソリンのにおいがする

これらの症状があると、プラグかぶりの可能性が高いです。


● すぐにできる方法:アクセルを踏みながらエンジンをかける

アクセルを全開(思い切り踏みっぱなし)にして、セルを5秒ほど回してみてください。車によっては、この操作で余分なガソリンが抜けて、エンジンがかかることがあります。

※ 無理に何度も試すとバッテリーが上がるので注意してください。

● それでもダメなときはロードサービスへ

プラグを外して乾かしたり交換したりすれば直ることが多いですが、工具が必要なので、ロードサービスや整備工場にお願いするのが安心です。


  • エンジンが冷えているときは、そっと始動する
  • かからないときに、何度もキーを回さない
  • 週に1回は車を動かすようにする
  • 定期点検でプラグを交換してもらう(1万〜2万kmが目安)

Q:放っておいても自然に直る?
→ 気温が高ければ、時間がたつとガソリンが蒸発して直ることもありますが、確実ではありません。

Q:どんな車でも起きるの?
→ 冬の寒い時期などは年式や走行距離に関わらず起こる可能性があります。特に古い車や、短距離しか走らない車で起きやすいです。

Q:修理代はいくらぐらい?
→ プラグ交換だけなら1本1,000円〜2,000円程度。工賃込みでも5,000円前後が一般的です。


プラグかぶりは、よくあるエンジンのトラブルのひとつです。初めて経験すると驚くかもしれませんが、原因がわかれば落ち着いて対処できます。

「セルは回るけどエンジンがかからない」ときは、まずプラグかぶりを疑ってみてください。そして無理に繰り返さず、困ったときはロードサービスに相談するのが一番です。